会社の設立申請の書類作成について、
自分で行うことは、可能なのか?
もしくは、
依頼する際には、どこに依頼すればいいか?
を知りたい。
こんなテーマに関する記事です。
法人の設立申請について、書類作成や、専門家への依頼するケースについて解説しています。
会社を設立する際は、
法務局へ法人登記
を行う必要があります。
(また、登記に必要な定款は、公証人役場での証明が必要となります)
これらの手続きを行う会社設立の申請方法は、大きくは、下記の3つの方法があります。
1.自分で行う
2.専門の事務所に依頼する
3.クラウドのサービスを利用する(マネーフォワード会社設立、弥生のかんたん会社設立、freee会社設立)
それぞれ注意点がありますので、下記に順に説明していきます。
目次
1.自分で行う
手間とコストをかければ、
自分で書類を作成して法務局に書類を提出して法人設立の申請を行う
ことはできます。
しかしながら、結論から言いますと、
自分で書類を作成するのは、避けた方が賢明
と言えます。
理由としては、
自分で書類を作成するのは、かなり面倒である
ということに加え、
定款費用に関してのコスト面
があります。
定款に関しては、
紙定款の場合は、4万円の費用
が発生します。
ただ、電子定款の場合は、その費用は発生しませんが、電子定款を作成する為に、
電子署名が可能なPDF作成ソフト 等
が必要となります。
また、申請書類は、複数あり、また、当然、規定に沿った内容で記載する必要があります。
定款の記載方法含め、いちから調べて書類を作成するということは、実際、かなり大変です。
いずれにしても、法人設立の書類を作成する為に、上記のコストや手間をかけるのは、あまり、得策とは言えます。
ですので、書類作成面だけで判断するなら、
クラウドのサービスを利用する、
あるいは、
低コストの行政書士さんを利用する、
というほうが、コストパフォーマンスが良いと言えます。
【参考】法人設立にかかる費用
申請にかかる費用としては、株式会社の場合、基本、下記の内容になります。
【申請費用】
・登録免許税 ;15万円~
・定款認証 ;5万円
・定款謄本の作成費用;1通250円
・定款の印紙代 ;紙面定款、電子定款によって異なる
・印鑑証明書費用 ;1通450円
・謄本費用(履歴事項全部証明書);1通600円
定款について
定款には、
・定款認証料;5万円
・印紙税(収入印紙);4万円
・定款謄本の作成費用;1通250円
の費用が発生します。
※定款認証にかかる費用が令和4年1月1日から変更になりました。
資本金の額毎に金額が異なります。
・資本金100万円未満;3万円
・資本金100万円以上300万円未満;4万円
・その他;5万円
このうち、印紙税(収入印紙)については、上記にも記載したように、
・紙面による定款
・電子定款
という定款の種類によって、費用が変ってきます。
(定款認証料の5万円などの負担は変りません)
■紙面による定款
紙面での定款を提出する場合は、印紙税(収入印紙)4万円の費用が発生します。
■電子定款
電子定款の場合は、費用が発生しません。
※平成14年1月15日より、定款を電子データで作成し、その電子データで公証人の定款認証を行うことができるようになりました。
但し、個人で電子定款を発行する場合は、
・電子証明書(市区町村の交付窓口で取得。マイナンバーカードなども必要。)
・電子署名が可能なPDF作成ソフト(Adobe Acrobat Standard/Professional)
・電子署名プラグイン
・電子公証クライアント
といったソフトの環境が必要となり、1回の電子定款を作成する為に、こういった環境を揃えるのは、コストと手間がかかります。
※ちなみに、司法書士さんや、電子定款に対応している行政書士さんに依頼した場合も、この印紙税(収入印紙)4万円の費用は発生しません。
定款とは、
会社設立時に定める、「企業に関する内容を記載した文書」
のことです。
内容としては、会社の名前(商号)や事業内容、住所といった会社の基本情報に加えて、さまざまな規則を記載します。
この定款は、以前は書面による定款しか認められていませんでしたが、2004年3月1日から電子定款による電子認証が可能となりました。
2.専門の事務所に依頼する
専門の事務所とは、
司法書士事務所
もしくは、
行政書士事務所
です。
司法書士事務所の場合
司法書士事務所の場合は、書類の作成の他、
・法務局への書類の提出
・公証人役場での書類の受け取り
まで、行ってもらえます。
ちなみに、司法書士さんは、司法書士法でその権限が定められており、
設立登記申請を代理できるのは司法書士のみ
と規定されています。
(それに対して、行政書士の場合、あくまで、書類作成のみの対応となります)
ですので、司法書士さんに依頼した際には、法務局等に出向く必要がなく、非常に、楽です。
そのかわり、書類作成費用含めて、
概ね、7~8万円
前後の費用が発生します。
(司法書士さんによって、費用体系が異なります)
全体の費用としては、上記に加えて、法人設立申請の実費(法務局等への費用)が必要となります。
また、通常は、電子定款での対応となり、紙面での定款で申請する費用の4万円が発生しませんので、その分、実質的な負担は軽減されます。
行政書士事務所の場合
行政書士事務所の場合は、上記にも記載したように、
あくまで、書類作成の代行
を行うという内容になります。
ですので、書類作成後は、自身で、
公証人役場
法務局
に出向く必要があります。
また、費用的には、行政書士事務所によって、かなり差があります。
法人設立書類の作成をメインに行っている行政書士事務所の中には、
かなりの低価格でサービスを提供
している先もあります。
サービス内容や、実績を見て、判断しましょう。
クラウドのサービスを利用する
クラウドのサービスとしては、下記が有名です。
会社設立に関する書類作成費用が、「無料」ですので、お勧めです。
この「無料」というのは、あくまで、
書類作成についての費用が無料
ということです。
法人登記等に必要な登録免許税などの実費費用は、発生します。
また、それぞれのサービスの特徴としては、下記になります。
電子定款費用
電子定款費用については、
・弥生のかんたん会社設立;無料
・マネーフォワード会社設立、freee会社設立;5,000円
となっています。
弥生のかんたん会社設立は、無料なので、かなりお得感があります。
電子定款費用は、上記にも記載しましたように、
・弥生のかんたん会社設立;無料
・マネーフォワード会社設立、freee会社設立; 5,000円
となっています。
ちなみに、マネーフォワード会社設立、freee会社設立の場合、
系列のクラウド会計の年間契約をすることで、5,000円(電子定款費用)が無料
になります。
つまり、freee会社設立や、マネーフォワード会社設立のサービスは、
会計クラウドの契約の為の販促サービス
という位置づけとして、無料に設定しているといえます。
オンライン申請についての注意点
オンライン申請に関しては、
弥生のかんたん会社設立、freee会社設立;無料で対応
となっています。
通常、会社設立の書類作成後、
法務局などの各行政機関
に出向く必要はあります。
ただ、弥生のかんたん会社設立や、freee会社設立のオンライン申請の対応の場合、それらの窓口に出向く必要が無いので、効率的です。
また、修正が必要な箇所があればオンラインで修正内容の連絡が届きます。
但し、オンライン申請の場合は、申請時に、
マイナンバーカードの読み取り
を行う必要があり、
パソコンの場合はICカードリーダー、モバイル端末の場合はマイナンバーカードの読み取りに対応した端末が必要
となります。
ですので、便利な反面、結局、手間やコストがかかってきてしまうということになります。
ですので、クラウドの会社設立の場合、書類を出力して各行政機関に出向いて申請するほうが、シンプルな手順になるといえます。
いずれにしても、クラウドの会社設立サービスは、書類作成自体は簡易な手順で、しかも書類作成自体は無料ですので、検討する余地は十分にあります。
まとめ
会社設立の書類作成に関しては、便利さから見ると、
クラウド系の会社設立サービス
がお勧めです。
また、上記にも記載しましたが、「やよいのかんたん会社設立」は、電子定款費用も無料なので、お得です。
あるいは、クラウド会計を利用予定の場合は、マネーフォワードやfreeeの会社設立サービスを利用するという選択肢もあります。
また、法務局などへ出向く手間を省きたい場合は、多少費用がかかっても、司法書士さんへの依頼となります。
その際は、司法書士さんによって、対応レベルの差もありますので、ホームページなどで、チェックして判断しましょう。
また、ネットを見ると司法書士さんや、行政書士さん以外でも、会社設立の申請を行っている場合があります。
その場合は、
司法書士さんや行政書士さんと連携して業務を行っている
ということが想定されますが、念のため、どのような体制でサービスを提供されているのかを確認しておくと安心です。
また、ネットなどでは、
「会社設立の費用が無料」ということをアピールしている会社
もあります。
しかしながら、そういった場合は、なにか、
契約上の条件(縛り)
を設定している可能性が高いです。
例えば、
毎月の税務顧問の契約
や、
コピー機などの事務用品のリース契約
などです。
その場合、結果、費用負担が大きくなってしまいますので、要注意です。
ネットなどで検索して、このようなケースの場合は、
依頼した際の条件面
に注意して検討する必要あります。
以上、「会社設立申請」についての説明でした。